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am2:06の手記2012/10/24

「GIFT」はまだ発売されていませんが、新しい作品にむけて曲を書いています。

何かに触発される度に、それをきちんと作品に残したいと、昔以上に思うようになりました。日々触発の連続です。
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次なんて来るかわからないけれど、少なくとも次がもたらされた時に、もたもたしていたくない。僕は、長生きが目的だとは本当に思わないけれど、一日でも長く生きて、やりたいことが山のようにある。やりたいことを実現し続けていくと、僕は結果的にとても長生きすることになる。それを特権だと捉えるし、義務だとも思っている。自分が自分自身に課した義務。自分が「自分自身」を選びとった瞬間に掴みとる特権。

自分が「誰か」を選ぶ事は出来ない。僕たちが選べるのは「自分自身」を「選ぶか」「選ばないか」だけ。

小林祐介

「GIFT」 購入者特典について2012/10/19

先日、僕はtwitter上で「もし、特典のライブ音源の為だけにタワー、TSUTAYA、HMVで一枚ずつ買おうとしている人がいるとしたら、少し待って下さい。」と書きました。
理由は、告知された「GIFT」購入者特典について、THE NOVEMBERSチーム(メンバー、レーベル、スタッフ)間で、方針や意思の相違があったからです。

メンバーもスタッフもポジティブなモチベーションでそれぞれ思索し、行動するに至った事は言うまでもありませんが、その中で僕のやるべきこと、やりたかったことと、チーム全体でのそれが一致しないまま(そして一致していない自覚の薄いまま)事を進めてしまいました。
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さて、今回の購入者特典を考える際に、僕は初めて提案をしました。

正直な話、僕は前作まで購入者特典という物に対してレーベルスタッフに任せきりで、それに対して特に思う事もありませんでした。
これまでは実際に特典の詳細を知らされても大して気に留めず「そんなもの無くたって買う人は買うだろう」という気持ちでいました。むしろ、レーベル側が制作費を負担してそれらの特典を作っていることすら知りませんでした(ちなみにdisk union特典のTシャツは毎回disk union側の負担であり、提案です)。

しかし、今回「GIFT」をリリースするにあたって、これまで通りの慣例や習慣に合わせて購入者特典をつけるなら 「貰った人が喜ぶ物をプレゼントしたい」という想いが僕の中で大きくなりました。
これが僕の「シンプルな動機」です。

そこで僕は7/17「Moiré.3」のライブ音源を特典にすることを提案しました。
これに関してはライブ盤として販売するという選択肢もあった音源なのですが、レーベル側は快く承諾してくれました。感謝。

実際にこの案が通った後はそれを実行するにあたって、レーベルと各レコードショップとで「どうせやるなら面白い事を」という狙いのもと、話し合いを重ねてくれました。

その結果「せっかくだからTOWER RECORDS、HMV、TSUTAYAごとのイメージやカラーに合わせて選曲をし、それを各ショップ限定の特典にしよう」という提案をしてくれました。
その動機としては「お客さんにお店を選ぶ楽しみもプレゼントしたい。お店との新たな出会いを楽しんで欲しい」ということだったのですが、僕には疑問がありました。

レコードショップごとに特典を分けるという事はこれまでもやってきたし、業界の中でも慣例、習慣としてはありふれている事ですが、「貰った人が喜ぶ物」と仮定したライブ音源をわざわざ分けることは、僕が買う側だったら「楽しみ」というよりは「煩わしさ」と捉えてしまうからです。
僕自身の「シンプルな動機」と矛盾してしまう、早い話、嘘になると僕は考えました。

そういった僕の疑問を、シンプルに解決する方法があるなら、それをやろうと僕は言いましたが、それは不可能でした。
各店舗のオリジナル特典という打ち出しで告知している音源を「どのお店で買っても全部聴ける」という形に変更することでしか、この疑問は解決できないと考えましたが、それはそれで、お店に対しても、既に予約してくださった方に対しても、嘘になってしまいます。

このまま進めることもしたくないし、変更も出来ない中、我々は途方に暮れましたが、気持ちを切り替えて計画を仕切り直すことにしました。
「貰った人が喜ぶ物をプレゼントしたい」という想いをもう一度、シンプルな形でただ実行しようと思いました。

結論として、期間限定で11/17「November Spawned A Monster」のライブ音源を6曲、フリーダウンロード出来るようにします。11/17のライブ終了後、トラックダウンなど諸々の作業を経た上で12/24~12/31の間で実行する予定です。あくまでも特典なので期間は限らせていただきますが、これはどの店舗でも「GIFT」を購入してくれた方全員が対象です。(詳細がパッケージの中に封入されている為、配信での購入は対象外となります)
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そして7/17「Moiré.3」の音源6曲は、告知した通り2曲ずつに分かれた限定特典とします。解決の出来なかった問題ですが、我々は後悔をせずその反省をこれからに活かし、手元に届いた方は、ただ楽しんでくれることを願うばかりです。

何かやりたいことがあり、それに関わる人が増えれば増える程、それをあるべき姿へ転ばせていく事に対して慎重にならなければならないことを今回の件で学びました。

ただ、レーベルもスタッフも「より良い」「より楽しい」と思うものを提案してくれたことと、何より僕自身の「シンプルな動機」に対して、新たなチャンスを与え、最後まで加担してくれたことを心から感謝しています。

小林祐介

News2012/10/15

「GIFT」発表に向けて新たな試みを行います。
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■今作「GIFT」のレコーディングで使用した機材の紹介を、10月15日(月)〜18日(木)4日間に渡りメンバー1人づつFacebook pageで紹介していきます。
■メンバーが個人的に「GIFT」を聴いてもらいたいと思う方と、対談インタビューをして来ました。第一回目は10月末日公開予定、全4回Facebook pageにて公開していきます。
■リリース前の11月5日(月)USTREAM生配信も予定。詳細は随時発表して行きます。
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どれもこれまでに出来なかった事、やらなかった事です。お楽しみに。

小林祐介

小さな島国から愛を込めて2012/10/12

THE NOVEMBERSの楽曲が世界62カ国で配信スタート、「GIFT」全曲90秒試聴&プレオーダーも開始。詳細は →http://the-novembers.com/news/
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日本は島国ということもあり「日本でない国」を外国や海外と呼んだりします。日本には良くも悪くも島国根性というものがあるように思えます(自覚の有無に関わらず)。

「日本でない国」は精神的にも物理的にも、海を隔てた遠くにある、と僕はいつのまにか思い込んでいましたが、台湾のフェスに出演したことがきっかけでそれは大きく変わったように思います。
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いま僕は近くにいる人の事も、遠くにいる人の事も想像しています。
あなたが耳をそばだてるように囁いたり、雑踏の中のあなたに聴こえるように大きな声を出したりしています。
そして、「GIFT」はそういう作品だと思っています。「GIFT」があなたに届くための「理由」はあなたの中にだけありますが、「きっかけ」は僕たち次第で多くも少なくもなる。
その「きっかけ」のひとつとして今回のニュースはとても喜ばしいことです。この島国から海外へ泳いで渡ると確かに遠いけれど、いまは飛行機やiTunesがあります。ちなみに、気持ちは泳いででも届けに行くつもりです。
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やっと始まった。いや「始めた」だな。

小林祐介

アーティスト写真公開によせて2012/09/30

THE NOVEMBERS の新作「GIFT」の発表にあたり、新しいアーティスト写真を公開いたしました。
衣装はLAD MUSICIAN、撮影はアンダース•エドストローム氏によるものです。彼とは、我々がLAD MUSICIANのコレクションでライブをしたことをきっかけに出会いました。
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9月6日、雨が降りしきる都内某所の公園にて撮影は行われました。アンダースとのフォトセッションはとても刺激的で「自由に動いてくれ」「撮影中はメンバー同士でも会話しないでくれ」「僕の事を意識するな」などの指示を受けました。公園を歩いていて、気付いた時に彼の姿はなく、どこでいつシャッターが押されているのか不確かなまま撮影が続きました。つまり、雨の日にほぼ無言のまま黒服の男4人が公園をうろうろしていた、ということです。アンダース自身がアーティストなのもあって、これまで経験した撮影とは全く異なる環境でした。とても楽しかったのですが、どんなものが撮れているのかは全く想像がつきませんでした。

いざ、出来上がった写真は、はっきり言って僕が当初作ろうとしたものとは正反対のものでした。
雨の中何かに花を手向けているような写真。葬式のような写真。
しかし、それは僕に「GIFT」に対する気付きを与えてくれました。
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より良く生きていこうとすればする程、よりシリアスにならざるを得ないシビアな社会(そもそも「生きる」ということはそういうものだと僕は思いますが)。その中で生きているからこそ、僕は僕自身やあなたの「嬉しい気持ち」「楽しい気持ち」「優しい気持ち」「美しい気持ち」を尊び自分なりのやり方で大切にしようと思うのでしょう。
つまり裏を返せば、どこまでも冷静に、然るべき対象を区分し、軽蔑し、拒否することを全く厭わないということです。

何かを大切にする事をポジティブ、何かを区分し軽蔑することをネガティブだと認識されるのなら、それは僕には欺瞞に思えます。どちらも何かに加担していく上では同じことだと考えるからです。
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予め意図していたコンセプトの一つでもありますが「GIFT」の世界観はこれまでのTHE NOVEMBERSの作品の中で、最もポジティブであり、最もシリアスなものだと僕は考えています。

「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ」サン=テグジュペリ著『星の王子さま』より抜粋

砂漠と井戸、そういった対比が今回のアーティスト写真と「GIFT」の間にあるように感じ、それはまるで僕自身が今作を作ろうとした「きっかけ」それ自体の、ドキュメントのようでもありました。
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「GIFT」より先にアーティスト写真を公開することになりましたが、実際に「GIFT」を聴いた後にもう一度見直してもらえると嬉しいです。その時に写真だけを見た感覚とは違うものになるかもしれないからです。
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アンダース•エドストローム氏に感謝を。

小林祐介





Anders Edström アンダース・エドストローム
1966年スウェーデン、フロッソ生まれ。写真家、映像作家。

1990年 スウェーデンでの活動後、フランスに活動の場所を移す。
1994年 パリ現代美術館で開催された『L’Hiver de l’amour(The Winter of Love)』での、『Maison Martan Margiela』の写真をオリヴィエ・ザムが見たことをきっかけに、アート雑誌『Purple』の創刊から関わる。
1996年 イギリスに拠点を移し、映画の製作にも携わる。
また、2000年パリ、ポンピドゥー・センターでの『Elysian Fields』、2002年ボストン現代美術館での『Chic Clics』をはじめ、グループ展にも多数参加している。

写真集に『spidernets places a crew』+『waiting some birds a bus a woman』(2004、steidlMACK)などもあり、最新作は『SAFARI』(2010、Nieves)。
いくつかの映画も制作し、C.W. Winterと手掛けた長編映画『The Anchorage』(2009)は、ロカルノ国際映画祭グランプリ金賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞、インディペンデントフィルム部門大賞を受賞。

WORKS
Maison Martin Margiela|ANN-SOFIE BACK|LAD MUSICIAN|Vivienne Westwood|Stella McCartney|Miu Miu|VOGUE HOMMES JAPAN|Purple Fashion|AnOther Magazine|nero paris issue|The Solar Garden% Cosmic Wonder|X-Knowledge Home |Libertin / Dune|Paris/L.A.|装苑|Apartamento|Art Review|FADER|The Colonial|Leave no Trace |Purple|Dazed & Confused|Wired|Self Service magazine|etc

http://www.andersedstrom.com/

「GIFT」によせて2012/09/12

前作 「To ( melt into ) 」「(Two) into holy」を経て、「GIFT」という作品を作りました。
僕には、これまでに出来なかったことや、やらなかったことが山のようにあります。
そんな僕にとって、THE NOVEMBERSにとって「GIFT」は試みに満ちた作品です。

今日を迎えることを祝福し、明日が来ることを祈るような作品、言葉でも、言葉以外でも、目の前にいる誰かに語りかけるような作品を作りたいと僕は考えました。
誰かが「自分の」足で立って、「自分で」歩き出す時にそっと背中を押すような、そんな想いを込めました。
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「笑顔が見たい」M-1.Moiré
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笑顔は素敵だな、と僕は思います。人はどんな時に笑うのでしょうか。楽しいとき、嬉しいとき、困ったとき、誰かを差別するとき、馬鹿にするとき、、、
音楽に人格はありませんが、それは様々な時代に、様々な場所で、様々なものに加担してきました。商業に、政治に、戦争に、犯罪に、生活に、恋に加担してきました。

(「普遍的な」豊かさなどこの世に存在しませんが)僕は心身の豊かさに価値を置きます。どんな時に笑い、どんなものに加担するかを、意識的に選びます。
聴く人にとって、僕の音楽が豊かさの「理由」でなくてもいい。僕の音楽に触れた後に、その人の周りの風景が違って見えたりして、そこで笑顔になるような何かに出会えたら、僕はその「きっかけ」になれたことをとても嬉しく思うのです。

美味しいお蕎麦屋さん より抜粋。
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この「GIFT」という言葉は、贈り物、才能、などの意味の他に配偶子卵管内移植(Gamete Intra-Fallopian Transfer)という医学用語としても使われていることを偶然知りました。今回の制作の方法、環境もまた試みの連続であり、それらを表すのに(Gamete Intra-Fallopian Transfer)という言葉が適していると感じ、作品名にしました。(このことに関しては、後のインタビューや、記事などで話すつもりです。)
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最後に、今作はXTC「Apple Venus Vol.1」に触発されたことを記しておきます。
“Do what you will but harm none ”

嬉しいことも、楽しいことも、悲しいことも、辛いことも、まだまだ、これから。旅立つ誰か、残された誰か、それぞれの明日を祈っています。

小林祐介

dip tribute -9faces- RELEASE PARTYとMoiré.0について2012/08/27

8月31日に開催される【”dip tribute -9faces- RELEASE PARTY”】に出演します。共演する方々に関しては以下をご参照下さい。

dip(GUEST:ハヤシ(POLYSICS)/フミ(POLYSICS)/hiro(te’)/近藤智洋(GHEEE)/木下理樹(ART-SCHOOL/killing Boy)/ MO’SOME TONEBENDER / 池畑潤二×ヤマジカズヒデ
DJ:小野島 大

「9faces」において、THE NOVEMBERSは「human flow」のカバーで参加しております。英詞なのですが、いまの自分の気持ちと重なるフレーズがあったり、dipのコアなファンの方なら気付くであろうコード進行を入れてみたりと、思い入れが強いカバーが出来ました。他にもカバーしたかった楽曲は山のようにありましたが、この曲を選んでよかったです。

キュアーもdipも、長いキャリアを持ちながら、なお現役であるところを本当に尊敬しています。何より、ロバート•スミスもヤマジカズヒデも、いまだに僕をドキドキさせるヒーローなのです。
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「Moiré.0」への作品の投稿が8/31をもって終了いたします。

http://the-novembers.com/Moire.0/

専門学校の授業でも取り扱ってくれたらしく、とても嬉しいです。

小林祐介

花束2012/08/27

残された僕たちはこれからも、それぞれの日々を惜しみなく生きていく。
自分が死ぬとき「あぁ、全てこれでよかったんだ」と思えるような、そんな人生を送りたい。

ケンゴくんのアルペジオが元になって、僕との共作のような形で出来た曲がある。
旅立つ誰か、残された誰か、それぞれの明日を祈ってる、そんな曲。
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大切な人が、とても大切にしていた存在がなくなるということがあり、どうして世の中にはこんなにもどうにもならないことがあるのだろう、と考えてしまった。

しかし、こんなに悲しくてやりきれなくても、出会えたこと、一緒に過ごした時間に対しての感謝や喜びは永遠だと思う。周りにいた誰もがきっとハッピーだったと思う。
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ミソと一緒にいるとき、恋人がいつも笑顔で嬉しかった。ありがとう、すごくハッピーだったよ。

小林祐介

ぼくのバラ色の人生2012/08/21

久しぶりにゆったりと昼間を過ごしています。耳をすませばを観たり、藤子•F•不二雄の異色短編集を読ンダリ。
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夏になるといつも子供の頃のことを思い出します。

僕は子供の頃から「男である」とか「女である」とか「男らしい」とか「女らしい」とか「男のくせに」とか「女のくせに」ということを意識しながら生きてきました。

母親や、祖母が鏡の前でお化粧をしている様子を見るのがとても好きで、幼稚園生くらいの頃に黙って口紅を塗ったりしていました。そして「男の子はお化粧はしないのよ」と叱られたような記憶があります。どうだったかな、母親や祖母は笑っていたのかもしれないけれど「やばい」と感じたことで記憶が歪んだのかもしれません。
ただ、子供ながらに初めてタブーのようなものを破った興奮と、恐怖を感じていたような気がします。

小学生になり、女の子向け(と言われている)のアニメをみたりすることでからかわれたり、好きな色が赤やピンクだとからかわれたり、髪を伸ばそうとするとからかわれたりするような社会で生きる羽目になりました。(程度の差こそあれ、いまでもそういう場所で生きていますが。)
もちろん当時の僕からすれば、恐怖でしたので「セーラームーン気持ち悪い」とか「青とか黒が好き」とか「伸ばすのは前髪だけにしよう」などと考えるようになりました。
「みんななんて嫌なやつらなんだ」と周りにいる人達を疑うような習慣がつきました。しかし、そんな中でとても自由そうに、楽しそうに生きている2つ上の兄のことは尊敬していました。遊びに行く時もよく一緒に連れて行ってくれました。僕は同級生の子と遊ぶような習慣があまりなかったので、心配してくれていたのかもしれません。

クラス内の一部のやんちゃなやつらにだけいじめられる、という侘しい数年が過ぎ、小学4年になったころIくんというカリスマに出会います。
Iくんはいつも人に囲まれている人気者で、足が早く、サッカーが上手で、ユーモアがあり、みんなから「師匠」と呼ばれていました。
僕がいつも通りからかわれながら下校していると、そのIくんが「一緒に帰ろう」と声をかけてくれました。誰も彼には逆らえないので、いじめっ子達も退散して行きました。涙が出る程心がふるえたのをよく覚えています。「助かった」というよりは「何この人超かっこいい」という感動が大きかったです。
彼の誘いもあり、その後サッカー部に入ったり友達が増えたりと、どんどん学校生活が楽しくなっていったはずなのですが、何故かそのあたりの記憶は本当に曖昧でよく覚えていません。。

見方によっては、僕は性について想いを巡らすのが早かった子供のような気がします。(実際に他の人がどうなのかは知らないけれど)
いまでもそうですが、女性について、男性について、の見解で話が合う人はあまりいません。

こういう話をしている時に、友人から「ぼくのバラ色の人生」という映画を教えてもらいました。
詳しくは書きませんが、とても好きな映画です。
性同一性障害の主人公、リュドヴィック役の男の子がとてもかわいいのです(同い年)。

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僕の場合、美しいものに出会った記憶や、楽しかった記憶は、思考を伴わないものが多いような気がします。ただひたすら興奮していたり、没頭していたり、、、。そして何より、すぐ忘れてしまったりします。

反対に、嫌な記憶や、悲しかった思い出は、自分の心のバランスをとるための思考、その場をどう切り抜けるかについての思考、、などに満ち満ちており、その時の感覚がいまだに生々しく思い出せます。なかなか忘れられません。
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過去を振り返ったとき、いまだったらこうするのに、と思うことばかりですが、僕はそのひとつひとつに対して後悔はせず、反省するだけにしています。後悔は過去を直視し続けること、反省は過去を視界の隅に入れておくことだと思います。
生きることを歩行に例えると、前者は危ないですよね。水たまりにも落とし穴にも気付けません。テリブルテリブル。
ただ、反省ってすぐ忘れるんですよね。免罪符的に「大丈夫大丈夫、おれっち今バッチリ反省したから。」と体良く自分を許し、可愛がれるような思い込みは、実に容易いのです。

小林祐介

新木場STUDIO COASTを終えて2012/08/15

「UKFC on the Road 2012」
新木場STUDIO COAST終了。

笑顔の人がたくさんいてよかった。


LOST IN TIME海北さんが撮ってくれた写真。

海北さんの歌声は、本当に彼の人柄そのものだな、と改めて思いました。
明日や未来というものについて、あんな風に高らかに歌い上げるということは、今をわかっていないと出来ないし、様々なしがらみや足を引っ張る何かとの付き合い方に対して自覚的でないと出来ないと僕は考える。それらの存在を認めながらも視界にすら入れず振り切るのか、敢えて目を合わせたまま先へ向かうのか、どこへも向かわずとことんやり合うのか、「無かったこと」にするのか、、、、
どれが正解なんてことはないけれど、どうせなら素敵な気持ちになりたい、美しいものや場所を見に行きたい、心を震わせる音を聴きたい、一日じゃ足りない。やっぱり心にも明日がないと、今日をうまく過ごせない。
しかし(よく書くけれど)明日がくる保証は誰にも無く、単に見込みがあるだけなので、祈るしかない。
漫然と「明日はもたらされる」ように思い込むことは、心の贅肉になる。目を淀ませる。想像力を鈍らせる。暇が退屈に変わる。

といろいろ書きましたが、明日について想うことは今日をより豊かにし得る、ということが言いたかったのです。
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17日のDJで流す予定の曲(主にニューウェイブ、ポストパンク、ゴスなど)を選びながらこれを書いています。
「SODOM – Neo Dark Age Queer Dance Party -」

徹底された美意識を感じる、とてもクールなイベントです。

18日のTHE NOVEMBERS(Acoustic set)と共に、是非。
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アベンジャーズを観に行きたい。

小林祐介

Love cats2012/08/12

The Cureについて書きます。彼らについて知ったのは、L’Arc~en~CielのギタリストKEN氏が音楽雑誌でThe Cureからの影響を公言していたからだと思います。
その後、The Smithsと共に、僕がポストパンクやニューウェイブ、ゴシックなものにハマるきかっけになったのがThe Cureでした。
初めて買ったアルバムは「Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me」。
透明感があって、どこまでも甘く人工的で、凍てついたような音や楽曲に心を奪われました。
ボーカルのRobert Smithに影響され、THE NOVEMBERSの初期の頃の僕は、黒い服を着て髪の毛を立てたりボサボサにするようになりました。

以前こんなことをブログに書いたことがあります。
http://the-novembers.com/weblog/2741/

僕は、音楽の系譜の中の自分自身について自覚的でありたいと思っています。
「自分が焦がれたあの人は、どんなものに影響を受けたのだろう、さらにそれより遡っていくとどんなものがあるのだろう。」
規模の差こそあれ、僕もどこかの誰かに何かしかの影響(善かれ悪かれ)を与えていることを自覚しています。
自分がどこから、どんな道筋でここまで来たのか。
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ということを書いたのも、ここ最近、自分より若い人から「影響を受けた」と言ってもらえる機会が何度もあったからです。とても嬉しい。Robert Smithに感化されたとき、僕はすごく素敵な気分でした。そういうものを、誰かに与えることが出来たのなら、それはすごく素敵なことだと思うのです。

/小林祐介

言葉でしか話さなくなった2012/08/10

久しぶりの更新になってしまいました。書きたいと思うことはたくさんあったのですが、毎日のやるべきこと、やりたいこと、やらなくてもいいけどやりたいこと、やりたくないけどやらなくてはいけないこと、などに精一杯でなかなか書けませんでした。

まとまらないので分けて書きます。
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「Moiré.3」を終えて

あの日、あの会場で、あの編成ならではのステージを作ることが出来てとても幸せでした。
たくさんの方の協力があり、いつもの4人では、ましてや僕1人では絶対に実現出来ないものだったと思います。
きっと1人では出来ないからわくわくするんですね。

観に来てくれた人の顔がよく見えた日でした。(髪をオールバックにしていたからかな。)

「Moiré」は現時点では東京でしか実現出来ていませんが、もっとたくさんの場所で、たくさんの素敵なことをしてみたい、と毎日思いながら僕は暮らしています。僕にとっても、あなたにとっても特別なことがしたい。
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UKFC on the Road 2012

BIGMAMA
[Champagne]
POLYSICS
the telephones

との共演。

どのバンドも1年前と変化していました。とても素敵なことに、僕にとってその変化は実に心が躍るようなものでした。

変わらない美学は確かにある。
(意志を持って)変わらない自分と、(意志の有無にかかわらず)変われない自分を引き受け、「今」を肯定する。

その逆もあるだろう。常に過去を引き受けながら、変わっていく自分の「今」を肯定する生き方。

僕自身について書くと、自覚的に変えたこと、自然と(何が自然なのかはわかりませんが)変わったことを含め、昔の自分とはずいぶんと変わったなと感じています。世界もずいぶん変わって見えますし、実際に変わり続けていますね。

どちらにしろ、誰がなんて言おうと「今」の自分や、自分のやっていることに対して誇りを持てている5バンドが集まったと僕は考えています。みんなすごいバンドなんだよ、本当に。
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現在(ひっそりと)レコーディング中の次回作について。

世の中何があるかわからないので「絶対に発表する」と宣言出来ないことは心苦しいのですが、発表するつもりで毎日作業をしています。これまでに作らなかったもの、作れなかったものを、作っています。
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現在(ひっそりと)レコーディング中の次回作の、さらに次回作について。

世の中何があるかわからないので「絶対に発表する」と宣言出来ないことは心苦しいのですが、上記のものとは全く別のものを作るつもりです。仮面ライダーシリーズで言うならば、アマゾン、でしょう。
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穏やかな毎日を大事にしながら、僕は、僕の心がどうにかなってしまうような瞬間を求めています。嬉しいとか、悲しいとかではなく(何と呼べばいいのかわかりませんが)自分の中から何かが溢れてしまいそうな、自分がめちゃくちゃになってしまいそうな瞬間。
中学生の頃、失恋の痛手から、誰か僕のことをめちゃくちゃにしてくれ、と身を棄てたような考え方を本気でしていましたが、それとも違う。
ケンゴくんがカラックスの映画について話す時に「走ってる」という表現を使います。映画を観た人ならわかるかもしれませんが。なんだかそれに近いような、いや、いざ言葉にすると違うような。

小林祐介

明日を歌う2012/06/30

作業に明け暮れております。
来る7/17「Moiré.3」にて新曲を演奏します。「Moiré.0」に触発された曲もあります。

自分が自分以外の何かと関わり(関わってしまった、も含め)、それを意図的、確信的に、豊かさに繋げようと努力し、実行することの大切さを実感する毎日です。僕の暮らしと人生ではね。


(photo by OZK)

小林祐介

君にはどう感じられるのだろう2012/06/13

ライブと作業に明け暮れる日々。チョモとのツアーはとても充実した時間で、たくさんの人に会えて嬉しかった。
体調を崩してしまい帰郷した女の子がステージから見えた。お互い頑張ろう。

club SONIC iwakiのバックステージにあったピアノでSigur Rósの曲を練習しました。


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「Moiré.0」
http://moire0.tumblr.com/

たくさんの方から作品が投稿され、とても嬉しいです。どうもありがとう。
ひとつひとつが「( )」へのリアクションだと考えると、どの作品も興味深いですし、素敵だなと思う作品もありました。
一緒に何かやりたいなぁ、と日々考えております。やるつもり。

ちなみに、作品の投稿は8月31日まで受け付けておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
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大雑把な内容と、宣伝文句を意識し過ぎて、あえて観ないでいた「ぼくのエリ」(監督/ トーマス・アルフレッドソン)
を先月あたりに観ました。4回も。とても好きな作品でした。しかし、僕がまさに翻弄されたイメージ付けも含めた宣伝の仕方や、邦題が悪い。ネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、ここまで先入観に邪魔をされたのは久しぶりでした。
世界の9割9分以上に対して先入観しか持てていない僕は、それを「出来事」より前にある思い込みとして、自分なりに正しく扱う努力をするべきだなと思いました。どれもこれも、実際に見に行きたいよ。
そして、自分の想像を超える程に美しいものに感動したりする。自分の想像したものの方が美しかったら、それをどうにかして違う誰かに見せようとするのだろう。毎日、近いところも遠いところも想像してる。

小林祐介

Moiré.0 / Moiré.2 によせて2012/05/27

あたたかくなってきましたね。
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「Moiré.0」という企画を始めました。

http://the-novembers.com/Moire.0/

12月にこのアイデアを思いつき、実現にいたるまでたくさんの方に協力していただきました。あなた自身や、あなたの周りにいる素敵な表現者の方のリアクションをお待ちしています。(Moiré.0のロゴなども面白いかもしれませんね、募集します!)

僕は僕で、Moiré.0に対するリアクションに対するリアクションとして「Moiré」という曲を書いています。
トリビュートの作業なども重なり、少し時間がかかりましたが新曲もたくさん書きました。何事もなければ、作品として世の中に残せるはず。あなたの元に届くかどうかは、(届ける努力を惜しみなくすることは大前提ですが)ただそれを願うばかりです。
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「Moiré.2」
三ヶ月連続のイベントの二本目です。今回はLillies and Remainsをゲストにお招きいたします。

僕の熱狂的な音楽体験のひとつにポストパンク、ニューウェイブというものがあります。(その辺のことをまとめて書こうとしているのですが、あれもこれもと考えているうちに筆は重く鈍っていくばかり。。)

Lillies and Remainsはそんな自分の感覚をリアルタイムで刺激する数少ないバンドです。彼らのデビュー当時から、きっと好きな音楽が似ているんだろうな、と意識していました。いざボーカルのKENTくんとお話しすると、彼の音楽体験の土壌の豊かさにうなりました。その中で自分がやりたいこと、やるべきこと、得意なこと、不得意なことに対して意図的なのはやはり素敵です。美意識そのものですね。

ちなみにLillies and Remainsは「Re/composition」というカバーアルバムを発表しています。とても素晴らしい作品です。収録されている曲目を見る限り、どうやら僕の為に作った作品のようです。(小林ホイホイ的な意味で)
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素敵な人に会うと勇気が出る。僕も、その人にいい影響を与えるような人間でありたいな。

小林祐介

Moiré.1 を終えて2012/05/12

5/10 Moiré.1 終了いたしました。
感謝の気持ちを伝えるべき人に、言うべき言葉で、言うべき場所で言えたのでよかったです。
PLASTICZOOMSの耽美な世界観は、形は違えど僕がTHE NOVEMBERSで表現したいことと共通するものがあります。同世代のアーティストでこのような気持ちになれたのは初めてなので、出会えたことをとても嬉しく思えます。これからもいろいろと巻き起こしていきます。

終演後、セットリストをお配りしました。(一番下の写真で僕が持っているものです)
Moiré.2,3と毎回デザインを変えながら継続して配布いたします。

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(GAKUYA)

(THE NOVEMBERS×PLASTICZOOMS)

(IRO CHIGAI.1)

(IRO CHIGAI.2)
photo by nao
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次回は6/5、PLASTICZOOMSの『Die Kusse#1』で共演します。楽しみです。楠本まきの「kissxxxx」楽屋に持って行こう。
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Moiré.2 も素敵なゲストを招いて特別な夜にいたします。6/15 是非。

小林祐介

thank you2012/05/08

THE NOVEMBERSのwebsiteがリニューアルされました。

花代さんの写真と、Kentくんのデザイン、とても素敵です。

5/10もsoldoutのようで嬉しいです。耽美な夜にいたします。

 

小林祐介

Moiré.1/Die Kusse #1 に寄せて2012/05/01

春になって、いくつかの楽しみを少しずつ発表出来るので嬉しいです。
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以前ここに書いた通り「Moiré」という屋号は、僕個人のやりたいことや、それ自体(今回の場合はライブイベント)での意思表示をすることに焦点を置いたものです。

僕には好きな人、好きな考え方、好きな音楽、好きな映画、好きな本、好きなファッション、好きな匂い、好きな風景、好きな味、好きな自分があります。つまり「好きじゃない物事」があるということです。
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THE NOVEMBERSは5月と6月にPLASTICZOOMSと共演します。それぞれの自主企画にゲストとして招いた形です。

PLASTICZOOMSのSHOくんとは、共通する美意識、価値観がありました。前述した、好きな物事、価値を置く物事、あるいはそうでない物事に対して、僕たちはとても自覚的で、何より野心家でした。(そんな2人が偶然、お互いに一緒に何かをやろうとしたタイミングが重なったことも面白いです。)

「僕自身にとって」ステージにあがるということは、人の目に晒されにいくことも含め何かしかの干渉を求めているということです。そして、その際に僕は主にお金や時間などの「対価」をあなたから差し出してもらいます。

その際ステージ上にあるべきなのは「自分の差し出すべき正解」だけでありたいと僕は考えています。
言い方を変えるなら、僕は「自分の差し出すべき正解」でなら「人から対価をとれる」と考えています。

「人から対価をとることは後ろめたいことだ」

という考え方は、そもそも当事者には相手に差し出せるものが無いからです。「対価をとらなければ後ろめたさを感じずにいられる」ような表現に僕は興味がありません。対価の行方が踏み絵的であったり、免罪符的であったりするのは、とても悲しく、退屈です。(無論、対価はお金とは限りません。お金の介在しない取引にも対価は存在します。)
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僕は、これまで出来なかったことや、やろうとしなかったことを、少しずつでも実現していきたいと考えています。相変わらず世の中には悲しい出来事や、愚かでクソみたいな出来事と同時に、美しいものや楽しいものが存在しています。それを自分の足で見に行ったり、その手で作ったりすることは、とても力のいることだと思います。

Moiré(モアレ)は干渉縞とも言います。その現象はあらゆるところで起き、あるところではアートとして扱われ、あるところではノイズ、欠陥、不備として扱われます。
僕は、誰かと、何かと、干渉することで、ありとあらゆる扱いを、ありとあらゆる場所で受けたいのです。
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「Moiré.1〜3」の会場
Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
はもともと映画館だった場所です。席があるので観やすいと思います。ポップコーンはあるのかな。。
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dipのレアアイテムをお借りしました。嬉しい。

小林祐介

tako2012/04/22

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小林祐介

takamatsu2012/04/22

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小林祐介