先日、僕はtwitter上で「もし、特典のライブ音源の為だけにタワー、TSUTAYA、HMVで一枚ずつ買おうとしている人がいるとしたら、少し待って下さい。」と書きました。
理由は、告知された「GIFT」購入者特典について、THE NOVEMBERSチーム(メンバー、レーベル、スタッフ)間で、方針や意思の相違があったからです。
メンバーもスタッフもポジティブなモチベーションでそれぞれ思索し、行動するに至った事は言うまでもありませんが、その中で僕のやるべきこと、やりたかったことと、チーム全体でのそれが一致しないまま(そして一致していない自覚の薄いまま)事を進めてしまいました。
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さて、今回の購入者特典を考える際に、僕は初めて提案をしました。
正直な話、僕は前作まで購入者特典という物に対してレーベルスタッフに任せきりで、それに対して特に思う事もありませんでした。
これまでは実際に特典の詳細を知らされても大して気に留めず「そんなもの無くたって買う人は買うだろう」という気持ちでいました。むしろ、レーベル側が制作費を負担してそれらの特典を作っていることすら知りませんでした(ちなみにdisk union特典のTシャツは毎回disk union側の負担であり、提案です)。
しかし、今回「GIFT」をリリースするにあたって、これまで通りの慣例や習慣に合わせて購入者特典をつけるなら 「貰った人が喜ぶ物をプレゼントしたい」という想いが僕の中で大きくなりました。
これが僕の「シンプルな動機」です。
そこで僕は7/17「Moiré.3」のライブ音源を特典にすることを提案しました。
これに関してはライブ盤として販売するという選択肢もあった音源なのですが、レーベル側は快く承諾してくれました。感謝。
実際にこの案が通った後はそれを実行するにあたって、レーベルと各レコードショップとで「どうせやるなら面白い事を」という狙いのもと、話し合いを重ねてくれました。
その結果「せっかくだからTOWER RECORDS、HMV、TSUTAYAごとのイメージやカラーに合わせて選曲をし、それを各ショップ限定の特典にしよう」という提案をしてくれました。
その動機としては「お客さんにお店を選ぶ楽しみもプレゼントしたい。お店との新たな出会いを楽しんで欲しい」ということだったのですが、僕には疑問がありました。
レコードショップごとに特典を分けるという事はこれまでもやってきたし、業界の中でも慣例、習慣としてはありふれている事ですが、「貰った人が喜ぶ物」と仮定したライブ音源をわざわざ分けることは、僕が買う側だったら「楽しみ」というよりは「煩わしさ」と捉えてしまうからです。
僕自身の「シンプルな動機」と矛盾してしまう、早い話、嘘になると僕は考えました。
そういった僕の疑問を、シンプルに解決する方法があるなら、それをやろうと僕は言いましたが、それは不可能でした。
各店舗のオリジナル特典という打ち出しで告知している音源を「どのお店で買っても全部聴ける」という形に変更することでしか、この疑問は解決できないと考えましたが、それはそれで、お店に対しても、既に予約してくださった方に対しても、嘘になってしまいます。
このまま進めることもしたくないし、変更も出来ない中、我々は途方に暮れましたが、気持ちを切り替えて計画を仕切り直すことにしました。
「貰った人が喜ぶ物をプレゼントしたい」という想いをもう一度、シンプルな形でただ実行しようと思いました。
結論として、期間限定で11/17「November Spawned A Monster」のライブ音源を6曲、フリーダウンロード出来るようにします。11/17のライブ終了後、トラックダウンなど諸々の作業を経た上で12/24~12/31の間で実行する予定です。あくまでも特典なので期間は限らせていただきますが、これはどの店舗でも「GIFT」を購入してくれた方全員が対象です。(詳細がパッケージの中に封入されている為、配信での購入は対象外となります)
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そして7/17「Moiré.3」の音源6曲は、告知した通り2曲ずつに分かれた限定特典とします。解決の出来なかった問題ですが、我々は後悔をせずその反省をこれからに活かし、手元に届いた方は、ただ楽しんでくれることを願うばかりです。
何かやりたいことがあり、それに関わる人が増えれば増える程、それをあるべき姿へ転ばせていく事に対して慎重にならなければならないことを今回の件で学びました。
ただ、レーベルもスタッフも「より良い」「より楽しい」と思うものを提案してくれたことと、何より僕自身の「シンプルな動機」に対して、新たなチャンスを与え、最後まで加担してくれたことを心から感謝しています。
小林祐介