アーティスト写真公開によせて2012/09/30
THE NOVEMBERS の新作「GIFT」の発表にあたり、新しいアーティスト写真を公開いたしました。
衣装はLAD MUSICIAN、撮影はアンダース•エドストローム氏によるものです。彼とは、我々がLAD MUSICIANのコレクションでライブをしたことをきっかけに出会いました。
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9月6日、雨が降りしきる都内某所の公園にて撮影は行われました。アンダースとのフォトセッションはとても刺激的で「自由に動いてくれ」「撮影中はメンバー同士でも会話しないでくれ」「僕の事を意識するな」などの指示を受けました。公園を歩いていて、気付いた時に彼の姿はなく、どこでいつシャッターが押されているのか不確かなまま撮影が続きました。つまり、雨の日にほぼ無言のまま黒服の男4人が公園をうろうろしていた、ということです。アンダース自身がアーティストなのもあって、これまで経験した撮影とは全く異なる環境でした。とても楽しかったのですが、どんなものが撮れているのかは全く想像がつきませんでした。
いざ、出来上がった写真は、はっきり言って僕が当初作ろうとしたものとは正反対のものでした。
雨の中何かに花を手向けているような写真。葬式のような写真。
しかし、それは僕に「GIFT」に対する気付きを与えてくれました。
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より良く生きていこうとすればする程、よりシリアスにならざるを得ないシビアな社会(そもそも「生きる」ということはそういうものだと僕は思いますが)。その中で生きているからこそ、僕は僕自身やあなたの「嬉しい気持ち」「楽しい気持ち」「優しい気持ち」「美しい気持ち」を尊び自分なりのやり方で大切にしようと思うのでしょう。
つまり裏を返せば、どこまでも冷静に、然るべき対象を区分し、軽蔑し、拒否することを全く厭わないということです。
何かを大切にする事をポジティブ、何かを区分し軽蔑することをネガティブだと認識されるのなら、それは僕には欺瞞に思えます。どちらも何かに加担していく上では同じことだと考えるからです。
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予め意図していたコンセプトの一つでもありますが「GIFT」の世界観はこれまでのTHE NOVEMBERSの作品の中で、最もポジティブであり、最もシリアスなものだと僕は考えています。
「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ」サン=テグジュペリ著『星の王子さま』より抜粋
砂漠と井戸、そういった対比が今回のアーティスト写真と「GIFT」の間にあるように感じ、それはまるで僕自身が今作を作ろうとした「きっかけ」それ自体の、ドキュメントのようでもありました。
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「GIFT」より先にアーティスト写真を公開することになりましたが、実際に「GIFT」を聴いた後にもう一度見直してもらえると嬉しいです。その時に写真だけを見た感覚とは違うものになるかもしれないからです。
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アンダース•エドストローム氏に感謝を。
小林祐介
Anders Edström アンダース・エドストローム
1966年スウェーデン、フロッソ生まれ。写真家、映像作家。
1990年 スウェーデンでの活動後、フランスに活動の場所を移す。
1994年 パリ現代美術館で開催された『L’Hiver de l’amour(The Winter of Love)』での、『Maison Martan Margiela』の写真をオリヴィエ・ザムが見たことをきっかけに、アート雑誌『Purple』の創刊から関わる。
1996年 イギリスに拠点を移し、映画の製作にも携わる。
また、2000年パリ、ポンピドゥー・センターでの『Elysian Fields』、2002年ボストン現代美術館での『Chic Clics』をはじめ、グループ展にも多数参加している。
写真集に『spidernets places a crew』+『waiting some birds a bus a woman』(2004、steidlMACK)などもあり、最新作は『SAFARI』(2010、Nieves)。
いくつかの映画も制作し、C.W. Winterと手掛けた長編映画『The Anchorage』(2009)は、ロカルノ国際映画祭グランプリ金賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞、インディペンデントフィルム部門大賞を受賞。
WORKS
Maison Martin Margiela|ANN-SOFIE BACK|LAD MUSICIAN|Vivienne Westwood|Stella McCartney|Miu Miu|VOGUE HOMMES JAPAN|Purple Fashion|AnOther Magazine|nero paris issue|The Solar Garden% Cosmic Wonder|X-Knowledge Home |Libertin / Dune|Paris/L.A.|装苑|Apartamento|Art Review|FADER|The Colonial|Leave no Trace |Purple|Dazed & Confused|Wired|Self Service magazine|etc