美味しいお蕎麦屋さん2011/10/23

解散してしまいましたが、syrup16gというバンドをあなたはご存知でしょうか。素晴らしいのです。
僕がsyrup16gをきちんと聴いたのはつい何ヶ月か前のことで(レコーディング終盤あたりに、マネージャーにボックスセットを貸していただきました)、歌詞、歌声、そして何より楽曲の良さに驚き、それからしばらくはシロップ漬けの日々でした。とても前向きで、そして何よりシリアスな気持ちになりました。
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ex.人間という曲のラスト

今度来るとき電話して
美味しいお蕎麦屋さん
見つけたから
今度行こう

というくだりで、僕は涙しました。
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これまでどうしてsyrup16gを聴いてこなかったのか、これといった理由は特に無いのですが、もっとライブを観に行きたかった、と本当に思います。
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実は数年前、我々がまだ作品を全国流通していない頃に、syrup16gと共演したことがあります。
serial TV dramaも一緒で、会場はSHIBUYA-AXでした。舞台袖から見える観客の多さに鳥肌がたったのをよく憶えています。興奮と「ここにいる人達のほとんどは自分達を観に来たわけではない。」という感情が混ざり合い、未熟な自分はニヒルな態度をとることに終止してしまったような記憶があります。「ステージに立つ」ということの意味を知らない阿呆だったのです。
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笑顔は素敵だな、と僕は想います。
人はどんな時に笑うのでしょうか。楽しいとき、嬉しいとき、困ったとき、誰かを差別するとき、馬鹿にするとき、、、

音楽に人格はありませんが、それはいろんな時代に、いろんな所で、いろんなものに加担してきました。商業に、政治に、戦争に、犯罪に、生活に、恋に加担してきました。

僕は精神的な、肉体的な豊かさに価値を置きます。どんな時に笑い、どんなものに加担するかを、意識的に選びます。

あなたにとって、僕の音楽が「豊かさ」の理由でなくてもいい。僕の音楽に触れた後に、あなたの周りの風景が違って見えたりして、そこで笑顔になるような何かに出会えたら、僕はその「きっかけ」になれたことをとても嬉しく思うのです。

僕にとってART-SCHOOLやdip、スミスやキュアーはそうだったからです。あげるときりがないけれど。。
いまの僕にとってはsyrup16gもそういう音楽です。
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さて秋か。
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何年か経ち、我々は11月26日にSHIBUYA-AXにてワンマンをすることになっています。(何事も無ければ。)
syrup16gではなく、THE NOVEMBERSというバンドを観に来る人が多いと思われます。自分も、その日に会う人も元気だったらいいな、と思っています。僕はあの日の自分に会いにいくような気持ちもあります。ニヒル小僧に格の違いを見せつけてやろうと思っています。

小林祐介