心を投げ出さないで2011/03/14

生物の中で最も「進化」した人類といった扱い方はただの思い上がりであって、ただ単に賢く器用になっただけなのだろうな。何を競っているのかが定かでないコンクールでなぜか1位になり、表彰式が終わり会場を出たとたんに2位のやつに「走り」で追い抜かれ、3位のやつには「腕力」でねじ伏せられるような空虚さが、「生物の中で最も進化した人類」という言葉にはある。
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我々の生きる環境が文明化していくということは、そのぶん本能を、四つん這いの記憶を無くしていくことだと思う。
本能によって生物が求めた「生きる為の利益」は、文明によって新たな触れ方が与えられ、細分化し、独立した行為になった。ここには、数限りないスタイルや付加価値、多様化に多様化を重ねた社会的な存在意義がある。
ぼんやりとした不安。一度文明の中で生きてしまったら、それが何の前触れもなく、心の準備もなく損なわれた時に、いったい何によってそこを補完出来るのだろう。都合良く「本能」ってわけにはいかないだろうな。
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食べるものはある、しかし生きる糧にはならない。住む場所はある、しかし帰る家ではない。

小林祐介