「Fourth wall」発売前夜/「dogma MV」「dogma live performance」によせて2013/05/13

ドグマ【dogma】
1 各宗教・宗派独自の教理・教義。
2 独断。教条。
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僕は、自分のことをある種の典型であると考えています。それは「自分自身」という典型です。
誰しもが「自分自身」の典型であり、それがせめぎあう社会は(どんな形であれ)誤解や偏見でまわっている、とも言えます。そしてそれは、物騒なことでも、悲しいことでも、美しいことでも、ない。流動し、その状況に応じてどんな風にでも転ぶからです。
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「dogma」MVについて。はじめに柴田剛監督をはじめ、関わってくれたすべての方へ感謝を。

このMVにTHE NOVEMBERSのメンバーは映りません。映っているのは、誰一人として知らない人達です。(あとで話を聞いたらすごい面子でした、いろんな意味で)
彼らは彼ら自身の典型として、ただ、こちらをみつめている。

それは何を表しているのでしょうか。
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フィクション、ノンフィクション(という2つが仮にあったとして)を隔てる壁の向こうから、いつでも、どこでも、何かが、こちらをみている。
それは、あなたの立つ舞台の観客かもしれない、あなたが存在する漫画の読者かもしれない、あなたの信仰する神かもしれない。
あるいは、あなたが観る舞台の演者、あなたの読む漫画のキャラクター、あなたを信仰する信者かもしれない。

そして、あなた自身かもしれない。
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「dogma live performance」http://www.ustream.tv/channel/dogma-live-performance(2013/05/14 23:00〜)

「dogma」のMVを投射された状態で、ステージ上で演奏をします。この会場に観客は存在せず、THE NOVEMBERSしか映りません。

“あるひとつの象徴”としてMVが持つ視点、我々の視点、そしてあなたの視点。
「dogma」において、この3つの視点が存在する瞬間を自分たちなりに表現します。

ちなみに、「Fourth wall」のジャケットは鏡で、置かれた環境、状況によってその姿を変えます。
空白は、ひとつの「視点」を表現しました。あなたを見つめるあなたの視点です。

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過去、現在、未来にわたり、あらゆる価値観、あらゆる人生や命が、あまねく存在する世界。

「Fourth wall」はひとつのフィクションであり、エンディングには、フィクションが「フィクションであること」を独白する瞬間があります。
それは、僕自身が今作において発見(あるいは再確認)した自身の「表現に対する教義」によってもたらされた結末でした。
「To/Two」「GIFT」を経て、ひとつの目印のようなものを見つけた気持ちです。「いつまでも途中」なことに変わりはありませんが。
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あらためて、「Fourth wall」に関わってくれた全ての方に、心からの感謝を。

小林祐介