




























































































“ザ・ノーベンバーズ クロニクル”に寄せて
いつもThe Novembersを応援してくれてありがとうございます。そして“ザ・ノーベンバーズ クロニクル”の更新が遅れてしまってごめんなさい!自分たちが行ってきたライブ情報を完璧に網羅しアーカイブしようと宣言したはいいものの、活動初期ともなると現在とのネットサービスの剥離があり、検索しても検索しても完璧な情報には辿りつけませんでした。
加えて我々の記憶にもそれぞれズレがあり、「ほら、そこでやったじゃん!ほら、、あの、、、なんだっけ、、あれだよ!、、、いや、やってない、、か?」みたいなやり取りが続くばかり。あれよあれよと時は過ぎ渋谷公会堂ワンマンを終え、年を跨ぎ、「合奏する、エンジン」の季節がやってきてしまいました。
いくつか抜けているライブや共演者不明な箇所もありますが、様々なお力添えもあり限りなく完璧に近いアーカイブになりました。これらすべてのライブ、すべての作品の先に今日の自分たちがいるということ。そしてその時々で出会ってきた沢山の仲間や、ファンのみんなのことを思い浮かべながら今この文章を書いています。
人生は旅そのもの、うまくいっている時もあれば、そうじゃない時もある。その両方、それ自体が宝物だと思うのです。たどり着いた場所そのものより、そこまでどんな道を歩き、どんな風景があり、どんな出会いがあり、どんな風に心を震わせてきたか。タイパやコスパとは全く逆の価値観、意味や価値を超えた壮大な遠回りの道中に、どれだけ足を止めて感じ入る“なにか”があったか。バンド結成20周年を経て、ここからどんな風にこの人生を旅していこうか。僕ら4人それぞれが自分の幸福を追求する先に、これからもThe Novembersが側にあったらいいなと思うし、ファンのみんなにとってもそうであれるよう精一杯生きていきたい。ぼーっとしていて、だらしなくいい加減なところもあるけれど、やっぱりこのバンドはかっこいいと思うんです。
2年半ぶりの作品「合奏する、エンジン」には今の自分たちのドキュメントが色濃く反映されています。とんでもなくタフで、不条理が頭上を飛び交うばかりのこの世の中で、どんな風に葛藤し、怒り、再生し、命を燃やしていくか。どうにもままならない矛盾を燃やすためのエネルギーこそが愛なのだと思います。僕らヒトはその為のエンジンなのかもしれません。
当たり前でない平和や幸せを勝ち取るために今日できること、小さなことでも持ち寄りましょう。
そして、またいい未来で会いましょう。
いつも僕たちを支えてくれたありがとう。最大限の愛を込めて。
The Novembers
地元宇都宮で活動を開始し、他のコピーバンドの方が動員がある現実に苛立つ。レコード会社東芝EMIの新人発掘に1stデモを送り、返事が返ってくる。当時新入社員のBさんが宇都宮までライブを見にきてくれた。僕も高松もアートスクールのTシャツを着ており一瞬でフォロワーだとバレる。
小林の大学のクラスメイトだった吉木、ケンゴが加入し現在の4人に。曲を覚えようとしない健吾のせいで持ち曲が激減し、一時期25分しか演奏することができなくなる。様々なライブに出演しライブハウスにノルマを払ったりギャラが貰えたり様々。ノルマを払った日の夜は永遠に小林と健吾はライブハウスの悪口を言い続けた。今はなきハイラインレコーズのデモCDコーナーで何度か一位になるなどして、嬉しかった思い出の多い下北沢。そんな下北沢にあるレコード会社UKPからデビューのオファーをいただき、2007年11月にデビュー。タワーレコードはじめ、沢山のレコードショップに自分たちの作品が並び感動した。とあるCDショップのポップに「シロップ16gの意思を継ぐバンド、THE NOVEMBERS !!」と書かれており、小林は持参したマスキングテープとマジックでシロップをアートスクールに書き替えた。
UKPと二人三脚で精力的に活動。様々なフェスやイベントに出たり、作品もたくさんリリースさせてもらった。敏腕マネージャーからの指摘で、まともに挨拶すらできないなどあらゆるダメさを痛感すると同時に、それもブランディングだからと開き直るなどダメさに磨きをかける。
2011年3月11日、敬愛するdipと2マンを新代田FEVERで行う予定の日に東日本大震災が起こる。もちろんライブは中止。現実でも意識下でもあらゆる当たり前が崩壊していく中、より良い生き方とは何かを初めて模索し始める。2013年10月、より自力を試したり、実感の伴う活動を目指しUKPから独立しMERZを設立。CDやアイテムの制作、流通、イベント制作や運営などを手探りで行いながらバンドは初めて結束していく。
「今日も生きたね」「Rhapsody in beauty」をリリースし、その特殊な仕様やPRの手法など様々なチャレンジ&実験を行う。全てを自分たちの責任で行えることの自由さと難しさを学び、課題も実感する。その様子を見てくれていたUKP社長から「頑張ってるな、あれはうちではできないよ」激励の言葉をもらい、彼らに恥じない活動をしたいと一層背筋を伸ばす。CHARAさん、yukihiroさん、DIR EN GREY DIEさん、浅井健一さんなど、様々な影響元の先人達と共演&共作するなど、ソロでの活動も活発化。土屋昌巳さんプロデュースのもと「Elegance」を制作。音楽家として、人としての大きな学びを得る。パッケージは、手のひらで表面を温めると黒い線が消えてダイヤモンドの線画が見えるという特殊仕様。体温そのものや人の温もりを表現したいというアイデアのもと制作された。
より広く、グローバルな展開を目指しホステスエンターテイメントと契約。「Hallelujah」、ベスト版の「Before Today」、「TODAY」、「ANGELS」をリリース。後に会社が解体となり事実上の廃盤扱いになるも、MERZ名義で再リリース。改めてセルフマネジメントと向き合いながらより音楽性を追求する中で、小林がギターを置きハンドマイクでパフォーマンスをする楽曲が増えていく。原体験のルーツにより近づいていくことでバンドの新しい方向性を確立していく。小林が傾倒していたSF作品やサイバーパンク的な世界観にとって2019年という舞台設定は重要なテーマでもあり、芸能山城組による「kaneda」をマッシュアップによってカバーする試みが念願叶って実現する(芸能山城組にも許可をいただきました)。
yukihiro氏にシーケンス・サウンドデザイン&プログラミングとして携わっていただきアルバム『At The Beginning』を制作。自分たちだけでは辿り着けない表現の奥行きやディティールが実現し、ツアーもその世界観を存分に表現する予定だったがコロナ禍によってあらゆる計画が中止に。すっかり世界線が変わってしまったかのような数年間を今日まで過ごしています。地元栃木が誇る大谷資料館で幻想的な配信ライブを行うなど自分たちなりにできることを模索していましたが、あらゆる当たり前や日常が壊れていき、バンドは徐々に熱を失いそのままフェードアウトしてしまうかのような虚しさに苛まれていました。映像作品『The Novembers 断片記録映像2022-2025』で詳しく話していますが、自分たち自身を取り戻していくための年月でした。そのきっかけになったのは「かなしみがかわいたら」という1曲をなんとか完成することができたからだと思います。その後自粛期間を経てツアーなどができるようになるも、リハビリのような状態はしばらく続く。復活の狼煙として2023年にアルバム「The Novembers」を発表。2度目のセルフタイトルに込めた想いは、コロナ禍前の自分たちにはなかった感情・意思で、大きな財産だと思っています。この作品を作れたことで、新しい自分たちのライブ表現の可能性を見出せました。新曲がみんなの純粋なモチベーションとしてライブの定番曲になる、これはバンドとしてとても誇らしいことです。
来る2026年5月20日、我々は「合奏する、エンジン」という作品をリリースし、同名のツアーを行います。これからのThe Novembersの旅、どうぞお楽しみに!!あなた自身の旅も続いていきます。一日一日を大切に味わい、いつかその先でまた会えることを願っています。その時までどうかお元気で。