胸に灯をともす街の赤い看板2014/01/27

広島への移動中にこれを書いています。車内BGMはキリンジ。
このターンで名古屋、大阪、福岡と周り、今日の広島で一旦東京へモドリ。
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福岡で、やる予定の無かった1曲だけライブ中の撮影を許可(そもそも禁止はしていないけれど)しました。
ありふれた光景だとは思うけれど、僕達からすれば初めてのことで、昨日ならそれをやってもいいかなと思ったのでやってみました。

沢山の共演者や、音楽関係者は皆口を揃えて、僕たちのライブの空間を特殊だと言う。褒め言葉でも貶し言葉でもなく。
空間は、関わった全ての人で作るものだから、僕からすればいつだって、どんな形だってそれは“自然”なのですが。
きっと、THE NOVEMBERSのライブの空間の中では、いろんなものが“ノイズ”になりやすいと思う。それを“ノイズ”と捉えるかどうかは人によるけれど、隣にいる人の“楽しみ”は尊重しよう。それは回り回って、あなたの“楽しみ”を守る事にもなるはずだから。そういう気持ちから自然発生するのがマナーだと思う。(ルールではない)
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社会とは、同類の集まり、共同生活の集団のことをいいます。
規模の差こそあれ、学校も、職場も、ライブハウスも、バンドも、自分の住む家も、社会と言えます。

そこでは、皆それぞれが異なった“常識”、“普通”、“美徳”、“役割”などを持ちよって同じ空間(社会)に身を置いています。
そこで全ての人が自由に、好き勝手に振舞うとどうなるかはご想像にお任せします。
“自由”を何よりも素晴らしいと考える人はユートピアのようなものを思い浮かべるかもしれないし、「他人の“常識”や“普通”をないがしろにすること」と捉え、喧嘩や戦争をイメージする人もいるかもしれない。

秩序を守る為にはルールが必要です。自分を取り巻くルールに辟易し、どこかで憂さ晴らしをする人がいたとしても、その“どこか”にもまた別のルールがあります。
自分が変わるか、ルールを変えるしか、その憂さを晴らす方法はありません。
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視点を変えます。
ルールではなく、マナーについて考えます。
「皆それぞれが異なった“常識”、“普通”、“美徳”、“役割”などを持ちよっている」社会の中で、マナーとは何なのでしょう。
それはきっと「皆それぞれが異なった“常識”、“普通”、“美徳”、“役割”などを持ちよっている」という自覚の中で、他人を想像する事だと思う。
まず、半径1m以内にいる人のことを想像するのがいいのだと思う。それぞれが良心を持ちよって。
最初にも書いたけれど、そこから“マナー”というものは生まれてくるものだと思う。

勿論、僕やあなたの“良心”が隣の誰かのそれと同じ物かと言ったら、そうではないでしょう。
(何やら穏やかで温かで、普遍的に良いものとされている)“愛”や“思いやり”だって、その形が違えば当然軋轢を生む。
良かれと思ってやったことが、他人を傷つけていることもある。それに気付ける場合もあるし、永遠に気付けないこともある。
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▲例外▲

「他人に嫌な思いをさせるのが最高に楽しいんだ。その為なら命をかける。まあ死ぬのは嫌だけど、他人に嫌な思いをさせるのだけはやめない。」

という人が世の中にいたとしても不思議ではない。出来れば出会いたくないけれど、こういう人を“存在してはいけない”と思う事は野蛮な行為だと思う。いや、どんな人に対しても“存在してはいけない”なんて考え方はあってはいけない。
しっかりとその存在を認め、好きとか嫌いとかどうでもいいとか言うのが、あるべき姿だと思う。(よくあるじゃんロックとかパンクが売りな人が「俺はおまえらの存在を認めない!」とか。いや、認めときなよ。存在認めなかったらあなたがやってること虚無の極みですよ。壁とでも会話してるんですか。壁だってちゃんと“在”りますからね。)
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“きっかけ”と“理由”について書こう。

僕たちはステージの上や、あなたの聴く音楽の中にいる。
僕たちを“きっかけ”にあなたが自分自身の為に楽しんでくれたら嬉しいし、光栄に思う。
ただ、あなたが何かを楽しむ時、その“理由”はいつだってあなたの中にしかない。外にある出来事は、いつだって“きっかけ”に過ぎない。

世の中はあらゆる“きっかけ”に満ち満ちており、それは可能性や未来とも言い換えられる。あなたがどんな“理由”を持ち合わせているか、これからどこへ行こうか、
それが大事なのだと思う。

お互い景気よく、楽しみましょう。5分後に交通事故で死んでもおかしくないような世界で、お互いが生きて出会えた奇跡のようなものを、惜しみなく味わい尽くしましょう。
今日まで生き、誰かと出会えた喜びは、それぞれの神に感謝してもいいし、しなくてもいい。ただ、自分自身のことを心から祝福してもいいんじゃないかな。

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それぞれのよい一日を。

小林祐介