はじまり2019/05/02

今日の更新は、日付ごとに思い出しながら書くスタイルでなく、もっと思いついたままに書くよ。
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いま、友達の新作(まだ告知解禁前だから誰のものかは書けない)を聴いている。何日か前から、何周か聴いてるんだけど、まだうまく言葉にすることができないでいる。
友達の作品を褒めるのは簡単だ。だって、友達のことは、つい、いいところを見てしまうから。いいところを見つけて、そこを好きになって、作品を楽しむ。人付き合いそのものにも、そんなところあるよね。
でも、本当にすごい作品は、そんな楽なことをさせてくれない。

スッと胸に入ってくるもの
僕の頭をかき回すもの
ナイフで刺されたような気分になるもの(ナイフで刺されたことないけど)
鈍器で頭を殴られたような気分になるもの(鈍器で頭を殴られたことないけど)
太陽のように直視できないくらい眩しいもの
恋をしている時のように胸をドキドキさせるもの
崖から突き落とされそうなくらいスリリングなもの
長い長い映画を観終わった後のように、疲れ切ってしまうもの

いろいろある。

でも、すべてに言えるのは、僕はそれに“向き合わざるを得ない”ってことだ。無視できない。

で、僕はいま友達の作った新作を聴いているわけだけど、まさにそれに“向き合わざるを得ない”状況なわけです。
いろんな感情がうごめいている。
喜び、興奮、敬意、そして、たぶん嫉妬もある。

今作も素晴らしいね!!とは、悔しくて言えない。みたいな単純な嫉妬じゃないんだよな。これは。

この素晴らしさを自分なりにきちんと言葉にして返したいんだけど、なんて返そうか悩んでいて、いまだにメールを送れないでいる。
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もともと、僕は人を妬んだり、羨んだり、憎んだりすることに激しく振り回されてきた。同時に、“他人の感情”というものを読み取り理解する能力が極めて乏しく、それらによってたくさんの人に迷惑をかけたり傷つけてきたという自覚もある。変わらず近くにいてくれる人もいるし、離れていった人もいる。そんな自分を変えたいと思い、自分の言動によって身の回りに起こったことの傾向を理解しようとしたり、その対策を考えたり勉強した。そして、それらを少しずつ実践してきた。
まだまだ人間として未熟である(悲しいくらいに)ことは大前提だけど、うまくいったことがたくさんあると、僕は思っている。

まあ、そんなこともあって僕はあまり人を妬んだり、憎んだりすることが極端に少なくなった。
ポジティブな意味では、穏やかな心でいられる時間が増えた。ネガティブな意味でいうと“どうでもいい”人や物事が多くなってしまった。目の前にあることを、目の前にあることとして触れることができるようになったことで、他人と何かを競うこと、比べることが、自分にとってあまりに無意味であること、価値がないことと思うようになった。

なんでこんな話をしているかというと、ある疑問が湧いたからです。
僕がいま友人の新譜に感じているこの“嫉妬のような感情”は悪いものなのか、という問い。

自分や周りを不幸にしている“自分のこの感情は間違っている”という半ば強迫的な矯正を、何年もかけてしていたんだけれど、それによって、僕は間違いなく見過ごしていることがある。向き合えていないことがある。
湧いてくる感情は、どんな形でも正当なんだ。だって感情なんだもん。
それとどう付き合うか、どう形にする(あるいは、形にしない)かが大事なだけで、心を抑圧する必要はなかったんだ。
そりゃあ感情を垂れ流しにするのはクソだなと思うけどさ。
でも、いつのまにかうまく喜べなくなっていたこと、うまく悲しめなくなっていたこと、きちんと怒れなくなっていたことがある。他には、現実的な目標ばかりがあって夢を抱かなくなっていたり、とかさ。
憎むこと、羨んだり、妬んだりすることも、意味があったのかもしれない。いや、意味や価値を見出すこともできたんだ。
綺麗なことだけでなく、どんなにネガティブな物事・感情も、それすら、世界を飾る花に変えることができる、大空を飛ぶ羽に変えることができる。っていうか、それしかするべきことはないはずだよな。
他人にとってはゴミがゴミのまま道端に捨てられてるだけでも、人によっては、それを花や羽に変えられる。それだけが世界を清浄にする。どこまでも正常に、混沌という調和が。
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友人の新譜を聴きながら、そんなことを思った。と同時に、すっかり忘れていたいろんなことも思い出した。
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何年も前
「ここは通過点、俺はもっとビッグになる」と語っていた別の友人Kは、本当にビッグになった。

当時のKのことを思い出すと、あれは“夢”でありながら、“現実的な目標”だったんだなと思った。
僕はそれを冷めた目線でみていた。
同時に、彼が本当に眩しかった。話してる内容じゃない、夢を勝ち取ろうとしているその姿が、だ。
そして多分、僕はそれに嫉妬していたんだ。他人事にして、誤魔化していただけで。
「いいじゃん、きっとやれるよ」
みたいなことを言ったんだったかな。「俺はこれをする」って語れる何かがなかったんだ。
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だから、はじめよう。

小林祐介